尾根筋にある「千年杉」は立派な大木だが、ほとんど人に知られることもなく、松尾山の歴史を眺めてきた。もし、千年杉が語り部であれば、戦乱で多くの記録を失った丹波の歴史物語を聞くことができるのだが・・・、残念なことではある。
頂上の酒井氏治が築いた城址は、主郭を中心に帯曲輪が築かれ、東方に階段状に曲輪が続き、最東端は土橋を伴った堀切が切られている。小さな城址だが、曲輪や切岸の保存状態も悪くない。主郭には朽ちかけた案内板があるばかりで、樹木に遮られて眺望はいまひとつだが、東北方に多紀連山、篠山市街がわずかに見える。樹木を切り払えば、東方眼下に篠山盆地が広がり、真正面に波多野氏の拠った八上城が望めるところだ。
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