北条時政の鱗紋
むかし、北条時政が江の島弁財天の祠に二十一日間参籠して、子孫の繁栄を祈っていると、その満願の夜の明け方に、緋の袴をはいた気高い女房が現われて、
「汝は前世に六十六部の法華経を書写し、六十六ケ国に奉納した。その功徳によって汝の子孫は日本を支配し、栄華を誇ることになろう。しかし、もし非道なことがあれば、たちまち家は滅亡じゃ。よくよく身を慎まねばならぬぞ」
と告げて、たちまち二十丈もある大蛇となり、海中に姿を消した。
そのあとに残った三枚の鱗を時政は持ち帰って家の紋にしたという。