北海道のんき旅

●双雲峡/大雪山
●旭岳
●美瑛/富良野


【大雪山】 【双雲峡】 【美瑛】 【富良野】
(地図があります) この秋、札幌から旭川、そして石狩山地に位置する大雪山国立公園へと。9月10月の2度にわたって北海道に行ってきました。仕事八分に息抜き二分といったところの旅でしたが、楽しめました。
初日の札幌は、雪印乳業さんの札幌工場を見学。むかしは人手と単純な機械とで作業していた牛乳・チーズ・アイスクリームづくりが学べる歴史資料館から、オートメーション化された現在の製造ラインを見学。札幌工場特製のアイスクリームと牛乳をご馳走になりながらのセミナーも勉強になりました。夕方は定番『藻岩山』からの札幌の夜景見物。10月のはじめとはいえ随分寒かったですね。やっぱり、北海道は北の国でした。
二日目は雨の中を旭川へ。旭川は明治の中期に零下41度を記録した極寒の地(その寒さは例えばバナナを凍らして、金鎚代わりに釘が打てる、あるいは吐いた息がどんどん凍ってしまうほどの寒さだそうです。もっとも最近ではそこまで寒くはならないとか)で屯田兵が拓いたまち。旭川兵村記念館で戦前に軍都とよばれた旭川のそんなこんなの歴史が学べますよ。
北海道といえばアイヌの王国。このアイヌ、昔は本州にも多く住んで『蝦夷(えみし)』ともよばれ、日本の先住民だったともいわれています。かれらは中央政権(体のいい表現ですね)にまつろわぬ民として、律令時代、平安時代と征伐をうけ続け、安住の地を北へ北へと追われて、ついには、北海道が彼等の住処となってしまった。教科書で坂上田村麿の奥州征伐とか学んだでしょ。また、蝦夷といえば、前九年後三年の役で最後まで抵抗した阿部頼任。源頼朝に滅ぼされた奥州藤原一族が思い出されますね。中世から江戸時代にかけても純朴で世間知らずだったかれらは、彼等が和人とよぶところの本州人にだまされ続けた。それらへの怒りが反乱というかたちをとったこともあるようです。なかでも室町時代中期の『コシャマインの乱』は有名です。歴史って勝者とかことばを持っているものが書き残す…ということを考えると、学校で学ぶ歴史って何なんでしょうね。歴史はこちら側にもあちら側にも双方にあるんですよね。今では、アイヌことばすら忘れ去られようとしているとのこと。そんなアイヌ語で神を意味するカムイ、そのカムイが神居という地名で旭川市内に残っていました。白土三平の傑作『カムイ伝』のカムイも語源は一緒だとか。アイヌのみなさんのさまざまな遺跡も残っています。
市内を流れる石狩川には鮭が遡上してき、川面にそれがはねる姿が多く見られるそうです。また、石狩平野は米どころでも有名『きらら』という銘柄を聞かれたことあるでしょう?結構美味しい米です。米と水がうまいとくれば、当然『酒』ですよね。ありました、銘酒が。『男山』っていうんですけど、サッパリしたいい酒でした。男山酒造り資料館もあって、試飲もできるそうです。そうそう、日本製紙さんも見学してきました。製紙工場って本当にでかいんですよね。原料から製品までの一貫生産だから、それも当然なんですが、とにかくでかい。専門用語でプロセス制御とよばれる生産管理のもとで紙づくりをされてるわけなんですが、畳を横にしたような幅で紙がどんどん漉かれて製品になっていく。壮観でもあり、オフィスで無駄に消費されている紙のことを考えると、何かしら複雑なものがありましたね。ちなみに原料は広葉樹と針葉樹を併せてパルプにして、作っていくそうです。広葉樹の40%は輸入とのこと。そんなこんなを聞くにつけ、紙のリサイクルは大切な社会活動なんだと思いましたね。紙、無駄に使っていませんか?

三日目は、旭川市内から石狩川に沿って帯広方面へ車を走らせ、北海道の屋根とよばれる大雪山国立公園で有名な石狩山地に入っていきます。大雪山国立公園に大雪山という山はありません。以外でしょ。その主峰は標高2290mの旭岳です。その大雪山国立公園には柱状節理がかたちづくる奇岩のあれこれと、それらの岩間を流れ落ちる数々の名瀑で有名な双雲峡があります。アイヌことばで、両岸から岩壁が押し迫るところという意味の『大函、小函』。大雪の雪解け水や湧き水が断崖から流れ落ちる男滝『銀河ノ滝』、女滝『流星の滝』。そして大雪山登山と双雲峡一帯をダイジェスト(ダイナミックではない)に見物してきました。大函でふれた石狩川の水は、氷なしで水割りが楽しめるほどの冷たさ。銀河、流星の滝に向かう途中で、蝦夷鹿が交通事故に遭って死んでいました。最近、交通事故に遭うキタキツネや蝦夷鹿が多いとのことで、車で北海道に行くみなさんは気をつけましょう。もっとも、クマが交通事故にあった話は少ないそうですけど。そうそう大雪山はヒグマの棲処だそうで、クマとの遭遇で大怪我をする人もあるそうです。そういえば以前、大学生のパーティが襲われて死者がでた不幸な事故があったのも大雪山でしたが。大雪山登山は双雲峡温泉からロープウェイが出ていてとってもかんたん。さらにその先、アイヌことばでカムイミンタラ=神々の遊ぶ庭とよばれる黒岳(標高1984m)へはリフトを利用してのんびりと登れます。9月中旬に登った時は、山頂付近がものすごい紅葉でした。が、10月には紅葉は麓の方へ移り、山頂付近では紅葉という点で残念な風景でした。
でも天気が抜群で見晴らしは最高でしたよ。旭川から双雲峡に向かう途中に『北の森ガーデン』っていうのがあるんですが、そこに明治中期に旭川で記録された零下41度の世界を体感できるアイスパビリオンっていうのがあります。零下41度、体感してきました。とんでもない寒さです。人間って偉大ですねー。あんなものすごい寒さをも凌いで、営々と北海道の原野をここまで開拓してきたんですから。




小函の柱状節理/銀河、流星の滝/大函の清流


双雲峡/黒岳ロッジの看板/のんびりリフト
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ここまでが某団体のお客さんと一緒のバスの旅。つまり、仕事。でもけっこうノンビリしてましたけどね。何よりも、担当のバスガイドさんが良かった。独特の間というか、まめさが溢れててバスの旅が盛り上がりました。井上万美さんというガイドさんでしたが、楽しく過ごさせていただきました。 旭川空港でお客さんと分かれて、旭岳温泉へ。旭岳温泉は、双雲峡の反対側に位置する旭岳山麓の湯のさと。団体さんのカラオケ宴会をのぞけば、とっても静かな夜でした。でも期待していたわりに星が見えなかったのが残念でしたが。



バスガイドさん/観光バス


さー、四日目は気のおけないメンバーでアフタージョブ北海道の旅です。
先ず旭岳登山。旭岳は活火山で、今も所どころに噴煙があがっています。旭岳温泉からロープウェイで天女が原駅、乗り換えて姿見駅まで約15分の行程。春先には一面の花畑に出会えるとのことでしたが、季節は秋とて花はありませんでした。でも見晴らしは絶景で、眼前の旭岳はもちろん遠くに噴煙をあげる十勝岳連峰がバッチリと見渡せました。頂上付近に整備された遊歩道を姿見の池から夫婦沼、展望台へとぶらぶら1時間あまりの山上の散策。点在する池や沼は旭岳の爆裂(噴火とはいわないそう)でできた穴に、雨水が溜まってできたとのこと。ちゃんとした、登山の格好できていたら北海道の最高峰旭岳の登山もらくらくだったんですがね。行かれる方、トレッキングシューズを用意して行きましょう。


旭岳

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旭岳を下山して、美瑛、富良野方面へ。美瑛っていい地名ですよね。北海道の地名ってアイヌことばに漢字をあててるんでしょうね。『…別』『…内』がついた地名よく耳にするでしょ。あれって、関東に多い『…谷(や)』とか、信州に多い『…科(しな)』が地形を表わしているように、きっと地形を表わしているんでしょうね。今度、調べてみようと思っていますが。知っているひといらっしゃったら、ご教示ください。美瑛は『セブンスターの木』『マイルドセブンの木』『ケンとメリーのポプラ』などCMの名所が散在するのどかな田園風景が続くいいところでした。
花畑で知られた深山峠を越えて富良野へ。ラベンダーの花と『北の国から』の舞台になったことで一躍脚光を浴びたまちですね。そんな富良野にあるワイン工場に行ってきました。が、その味は…残念ながら小生には適わなかったですね。そして『麓郷の森』、ご存知のとおり『北の国から』の舞台になったところ。主人公の黒板五郎と子供たちが住んでいた(といってもテレビのなかの話ですが)家が建っていました。小生はTVを見たことないんで、感激もいまいちでしたが。TVを見ていたひとなら結構感動もんなんでしょうね。荒れはてた寂しいたたずまいではありましたが、けっこういい感じのところでしたよ。そうそう、麓郷の入り口の交差点に『嫁さん募集』の看板が立っていました。ここ麓郷に限らず北海道の農業地帯って、嫁さん不足が深刻らしいですよ。TVのネルトンみたいな『嫁さん募集』の番組にも参加してるそうですよ。ガイドさんに聞いた話しでは、役場にも嫁さん探しの課があって、全国嫁さん探し行脚をしてるんだとか。奇特な女性の方いらっしゃったら、北海道にお嫁さんに行かれたらいかがですか。本当に大事にしてもらえるそうですよ。[戻る]

北海道の旅最後の地は中富良野にある『ファーム富田』です。十勝岳のみえる原野に明治9年に初めて鍬をいれたのがそのはじまりとか。ラベンダーは1958年に、香料用として栽培をはじめたそうです。まわりの農家にも広がっていったそうですが、その後つぎつぎと栽培農家は減少して、70年代のはじめには『ファーム富田』だけになってしまったとか。そんな折りに、JR(当時国鉄)のキャンペーンポスターでその風景がとりあげられ、一気に全国区に。まさに『継続は力なり』の好例ではありませんか。ラベンダーは初夏の花ですが、ファーム富田の広い花畑の一角に遅咲きのラベンダーの紫の花が咲いてました。これから想像するに初夏のラベンダー畑の景色は最高なんでしょうね。今度は初夏に北海道を訪れようと心に決めました。でも北海道って本州のちまちました所で暮らしている者にとって、ほんとうにめっちゃくちゃ広い、そして、遠いところですね。そういえば、こんな事を経験しました。車を走らせていると妙にブレーキの利きが悪い『何でやろ?』と思えば、知らぬ間に100km近くのスピードが。これでは、通常の感覚でブレーキを踏んでも利きません。つまり、それほど信号もなく、道路も真直ぐ。故に知らぬ間にスピードが出ていた!というお話しでした。今回の旅で買った北海道ならではのお土産に『ラベンダー線香』があります。これって、なかなか好評ですよ。小生も気にいって焚いてます。3泊4日の北海道ぶらり旅の話、いかがでしたか?『よし!北海道に行こう!』って思いにかられた方がいらっしゃたら、参考にしてください。[おしまい]

深山峠のラベンダー

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