低山歩こう記-栗柄(多紀連山)


西ヶ嶽に登る

・2009年12月02日



御嶽の中腹より西ヶ嶽を見る(20091201)
 
 
多紀連山(アルプス)は三岳とも別称されるが、御嶽・小金ヶ嶽、そして西ヶ嶽を総称して三岳と呼ばれるそうだ。 修験道の山として、古来より「金剛界」「胎蔵界」をめぐる修験者が往来したところだけに道は明確である。 また比較的低山であることと、身近な登山が楽しめる公園として整備されたこともあって多方面から登山コースが 通じている。
本リポートの西ヶ嶽登山は、栗柄奥バス停を出発点として八柱神社北方より谷川の道に分け入り、茶の木が茂る谷沿いの道から山腹の崩れかけた石段を登り愛染窟、西の覗、 御嶽と西ヶ嶽との分岐となる尾根を目指した。



西ヶ嶽を遠望:0931 → 石段を登る → 愛染窟に到着:0952 → 愛染窟 → 紅葉の山道を登る




中腹より西紀町を見る:1011 → 小ピークから御嶽を遠望:1035 → 長閑な尾根道 → 西の覗に立つ:1040 → 鼓峠を見下ろす

愛染窟は天然の岩穴で、、NHK連続テレビ小説「甘辛しゃん(1997年放映)」の舞台ともなり一時は多くの観光を兼ねた登山者で賑わったところだが、いまはベンチも傾きやや荒れ気味となっている。中には愛染明王(見たところ役の行者だが)が祀られ、「胎蔵界」の行場の一つとして周囲の巨岩と相俟って厳かな雰囲気が充満している。愛染窟からはところどころに石段が残る急坂を、 ときには四つん這いになりながら、所々で広がる眺望を楽しみつつひたすら登り続ける。
小さなピークを過ぎると右手に御嶽が見え隠れする快適な尾根道が続き絶景ポイントである西の覗へとたどり着く。西の覗に立つと●玉は縮みあがるものの、正面に聳える御嶽はもとより日本海まで見えるのではないかと思える素晴らしいパノラマ風景が広がる。 御嶽へとつづく山々は巍巍たる姿で、まさに修験の山であることが実感される景色だ。


尾根への石段址を登る → 岩山を見る → 御嶽と西ヶ嶽への分岐へ:1058 → 御嶽を遠望 → 御嶽方向より西ヶ嶽を見る:1120



分岐:1130 → 尾根道を西ヶ嶽へ → ひたすら歩く → 頂上は間もなく:1155 → 頂上の標識

西の覗からの展望を堪能したのち、御嶽と西ヶ嶽の分岐である尾根にを目指す。分岐からの山道は、いい感じに落葉した雑木林の細尾根で、前方に西ヶ嶽、後方に御嶽を見ながら、ときには滑り落ちそうな急坂を攀じながら尾根の上り下りを繰り返す。西ヶ嶽頂上からの見晴らしは絶景とは言いがたいが、木の間越しに御嶽、南方には篠山市街から高城山、 弥十郎ヶ嶽、北方には栗柄から本郷界隈、西方には三尾山、栗頭峰・夏栗山が一望できる。


頂上より御嶽を見る → 栗柄方面を見下ろす:1234 → 三尾山、黒頭峰・夏栗山を遠望 ・西ヶ嶽を振り返る ・雑木林を下山:1303


西ヶ嶽からは雑木林の下り道が続き、道はやがて植林されたひたすら下り勾配の谷川道を辿ることになる。やがて、西方の尾根に石垣で区画された平坦地があらわれる。先日登った深山の山麓には、石垣で段々を構築した隠し田があったが、こちらのものは、その立地から推して隠し田というよりは寺院址か人家の址を思わせるものである。帰宅して遺跡マップを調べてみたが、西ヶ嶽の西方山麓には遺跡の印を発見できなかった。謎の石垣平坦地をあとに、 さらに下っていくと茶畑跡であろう茶の木の群落があらわれ、ついに栗柄口の登山口へと到着となる。 県道端には「多紀連山登り口」の道標が立てられ、すぐ側には神姫バスの栗柄口停留所があった。時間表を見ると平日は六本、 土日は三本というもので、乗り過ごすと大変なことになりそうだ。
西ヶ嶽の登山は、修験道の山らしく油断のできないコースだが、花や鳥など四季を通じて素晴らしい自然とめぐりあえるところで ある。また、西ヶ嶽は御嶽より西方に向かう「胎蔵界」廻りにおいて常に眼前に聳え立ち、かつての行者たちにとって、 あたかも西方浄土から行を見守る仏様の姿にも見えたのではなかろうか。修験の厳しさと自然の優しさとをあわせもった 多紀連山は、登るたびに新たな感動が味わえる山歩きを楽しめるところだ。
【登山メモ】 栗柄スタート:0920 → 御嶽方面道草:30分 → 栗柄到着:1406

【お奨めリンク: 西ヶ嶽〜三嶽西ヶ嶽・三嶽多紀アルプス〜西ヶ嶽