篠山の歴史・見処を訪ねる-呉服町


ほろ酔い城下蔵





正面から見る  歴史美術館方面から  古い酒壺  酒蔵の土蔵


釜場  仕込み蔵

篠山市内には、現在、呉服町の鳳鳴酒造建物群、犬飼の上田家住宅、 大山上の西尾家住宅、立町の小田垣商店建物群の四つの国登録の有形文化財がある。そのなかで、 平成十五年(2003)に市内で初めて国の有形文化財(建造物)に登録されたのが、 篠山の銘酒「鳳鳴」で知られる鳳鳴酒造主屋をはじめとした建物群である。
鳳鳴酒造は、昭和二十年(1945)のはじめ、戦時体制下における企業整備令により多紀郡内にあった十三の酒造が合併して多紀酒造を設立したとき、統一銘柄を「鳳鳴」としたことに始まる。多紀酒造有限会社の代表取締役に就任したのは、藩政時代の寛政九年(1797)に創業した西尾酒造の西尾丈夫であった。
文化財登録された鳳鳴酒造の建物群は、西尾酒造の創業時に建てられたもので、すでに築二百年以上を経る貴重な文化財である。鳳鳴酒造は篠山城北東に位置する呉服町にあり、主屋は街路に面した起り屋根の切妻造二階建て、吹抜の通り土間をもち店舗も兼ねている。主屋の西には平屋建の事務室一と土蔵一があり、平屋建、式台玄関付きの離れと、2階建土蔵造の土蔵二は居住用の施設であった。ついで酒造に関わる平屋建の釜場及び洗米場、2階建の仕込蔵、平屋建の槽場及び麹室は大規模な土蔵造となっている。
江戸時代の造り酒屋をタイムカプセルに閉じ込めたような鳳鳴酒造の建物群は、主屋玄関前の篠山市立歴史美術館と並んで、レトロな街篠山に欠かせない風景をつくりだしている。鳳鳴酒造の建物群は「ほろ酔い城下蔵」として開放され、気軽に見学することができる。洗米場、釜場、麹室、槽場などの酒蔵を見て回ったのち、利き酒が楽しめるのも嬉しい。
いま、呉服町ではリキュール類を造っているとのことで、日本酒「鳳鳴」は篠山口駅近くの味間蔵で造られているそうだ。 味間蔵も築百年以上を経た古い建物で、丹波杜氏本場の蔵人たちにより昔ながらの手法で酒造りが行われている。 こちらも見学可能で、丹波杜氏の酒造りの技(注)と丹波の銘酒「鳳鳴」の 味を堪能されてみてはいかがだろうか。
取材/撮影:2009年7月13日
(注) 味間蔵の酒造りは冬季のみで、造り期間外は案内所での工程説明になるとのこと。
参考 篠山市超お役所サイト・篠山市内建造物の国指定・登録文化財一覧

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