篠山の祭り


川原住吉神社の水無月祭


住吉神社の氏子である川原(菊水山)、本明谷(鳳凰山)、福住上(鶴寿山)、中(獅子王山)、下(亀甲山)の 五つの部落から出る五台の山車が宮入して、山車の上でこどもたちが打ち込み囃子を奉納、競演する。 むかしはうとぎ部落からも山車(竜水山)が出ていたが、昭和四十年代に後継者不足で中止となってしまったという。 打込囃子は、江戸末期に大阪の文楽座で活躍していた福住出身の竹本住江太夫が、帰郷後、 六台の山車ごとに打ち込み囃子を作詞・作曲、天保年間(1830〜43)の山車の巡行に取り入れられたのが 始まりと伝えられる。
打ち込み囃子は市の無形文化財に指定され、習得するのに三年はかかるというもので、昨今の少子化により 継続が危ぶまれている。篠山の一角に鎮座する神社の小さな祭りではあるが、豊かな情緒と雅を感じさせる 民俗芸能であり、なんとか未来へ受け継いで欲しいものだ。




・神社西方に立てられた幟 ・祭の装いの本殿 ・小雨の中で辻まわし ・福住の街を巡行(後方は籾井城址)




・山車の上で囃子を奏でる子供たち ・青田の向うを山車が巡行 ・勢ぞろいした山車群




・宮入を待つ住吉神社 ・神主さんが祝詞をあげる ・境内も祭りの装い


祭はあいにくの雨模様のなかで始まったが、時間とともに陽光が射すようになり、晴れ間の下で賑やかに巡行が行われた。 今年の篠山は築城四百年の年にあたり、水無月祭も四百年祭の一環として何十年ぶりかという 山車勢もあり、例年にはない華やかな賑わいがあった。見事な山車が、古宿場町の佇まいを残す 街中を巡行する情景は素晴らしい。もっと多くの人に楽しんでほしい祭だけに、四百年祭の事務局の方による宣伝不足が 惜しまれた。宮入を前にした頃より、雨がポツポツと降りだし、 今年も打ち込み囃子を見物することなく無念の退散をした。

【撮影:2009年7月25日】

→2008年の水無月祭