篠山の歴史・見処を訪ねる-92


小原の大日堂








大阪の池田から綾部に通じる国道173号線を小野新交差点を北上、福井交差点を過ぎてすぐ左手の小原集落に祀られた 小さなお堂が小原の大日堂だ。秋ならば、国道から大日堂の大銀杏が黄色く装った姿が望見できる。篠山北方に連なる 多紀連山(アルプス)は、むかし三岳修験道の行場として多くの修験者が往来した。かつて、大日堂のあたりは 三岳修験道行者の登山口の一つで、往時はおおいに栄えた所という。
堂内に安置されている大日如来坐像は、八ヶ尾山大日尾に祀られていたものを、三岳修験が大峰山の攻撃を受けて廃滅したのちに現在地に移されたものだという。三嶽修験道の表行である金剛界廻りを行う行者は筱見四十八滝で身を清めたのち、まずは八ヶ尾山大日尾の大日如来を拝し、小金ヶ嶽から福泉寺へと至る行場を駆けめぐったと伝えられている。 小原の大日堂の大日如来が三岳修験において重要な仏様であったことが理解できる。
大日堂のシンボルでもある左右に屹立する銀杏の大木は、雌雄一対の珍しいものである。樹高は約25メートル、推定樹齢約250〜300年で、市指定の天然記念物となっている。雌木には立派な垂乳根が垂れ下がり、母乳が出るようにと祈願する人もあるらしい。秋には多くの銀杏が実り、 地域の人々に秋の味覚を提供している。

・2008-04/27 →05/03 →11/09