信濃国-戸隠神社



天の岩戸神話を秘めた、信濃の深山に鎮座する。
 
戸隠神社

 
戸隠神社は、奥社・中社・宝光社の三社に分かれ、奥社は天手力雄命を御祭神とし、中社は天八意思金命を、宝光社は天表春命を主祭神として祀っている。
日本神話に名高い伝説に、天照大神が天の岩戸にお隠れになった話がある。すなわち、天照大神が天の岩戸にお隠れになったことを知った神々は、大神が隠れた岩戸の前に集い神楽を催して大神の気を惹こうとした。一方、天照大神も外の様子が気になり、岩戸をそっと開けたところ、その瞬間を待ち受けていた手力雄命は、無双の怪力をもって天の岩戸をこじ開いた。というものである。そのとき、命によって開かれた岩戸は遥か遠くまで飛ばされ戸隠の山に落ちたという。その地に、天手力雄命を祭神として祀ったのが戸隠神社だという。 日向の高千穂の地から、遠く信濃の奥戸隠まで飛ばした、命の怪力はまさに無双であり、天手力雄命の名に恥じないものといえようか。
●戸隠中社の拝殿/●戸隠神社の石標/●戸隠神社奥社の鳥居



 
戸隠神社の奥社へはの参道は鳥居から2Kmの長さである。しかも、鳥居から二王門までは一直線の道が1Kmにわたって続いている。そして、二王門をくぐると、杉並木となり、まさに荘厳の気配が漂う。林立する杉を仔細に見てみると、ほとんどが捻れていることに気付く。どうして、そのように成長したものか、不思議というしかない杉の木々であった。
その昔、戸隠神社の奥社の周辺には寺も建立されていたという。いわゆる神仏混淆のスタイルであった。しかし、明治維新の廃仏希釈によって、寺は全て廃され、その跡が草におおわれ、往時の繁栄を思い浮かべることもかなわない風景が展開していた。
また、戦国時代は武田氏と上杉氏との争乱に巻き込まれ、甲越両軍の戦略によって、絶えず危難に脅かされたという。夕暮れの戸隠神社の奥社の拝殿の前に立つと、歴史の無情を思わせる無常感が心を充たしてきた。
●中社の拝殿に菊花紋/●中社の鳥居/●戸隠神社の神紋を発見/●戸隠奥社のパンフにも神紋