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神社の入口の門─ 鳥 居


 地図を見ると、鳥居が神社の印になっている。また、鳥居を見たら、その奥には神社があることを知らしめてくれる。鳥居は、まさに神社の入り口の門なのである。
 鳥居は、鳥井・鶏居・華表とも書かれたが、なぜトリイというのかは分からない。通り居る門であるとか、鳥居の上の横木は鶏がとまるところであるとかいうが、いずれも定説には至っていない。『神道名目類聚抄』に「按ニ鳥居ハ上古質素ノ時ノ門ナリ、是境ヲ限ルカマヘナリ」とあり、『匠家必要記』には「鳥居は神代の神門也、今宮社に用ふるは、神代の遺風にして、木の鳥居を本式とす」とある。
 鳥居は原則として、四本の柱より成る。二本は左右の立て柱、一本は二本の柱を貫いている柱で、これを貫といい、いま一本は上部を覆っている柱で、これを笠木という。
 鳥居の形式は種類が多い。匠家必要記に「神名鳥居・黒木鳥居・山王鳥居・三輪鳥居・稲荷鳥居」などをあげている。鳥居の用材は木製が基本であり、素木もあれば朱塗もあるが、中世から石鳥居・唐金の鳥居もある。石鳥居は『古今神学類編』に「本朝ノ石ノ鳥居ノ元始ハ、九十一代伏見院ノ永仁二年(1294)ニ、釈忍性天王寺ニ石ノ鳥居ヲ立ツ、是ナン始ナルベキ」とある。唐金の鳥居は『太平記』に「吉野山の金鳥居」と見える。
 神職家などには、鳥居を家紋にしている家もある。『見聞諸家紋』を見ると、宮崎氏の「鳥居に鳩」が収録されているし、神官の山本氏も「鳥居」を家紋にしていたことが知られる。また、近世徳川譜代大名家の鳥居氏も「鳥居」紋を用いていた。ちなみに、鳥居氏は熊野三社の神官の裔を称している。
・古式ただよう大神神社の鳥居



●鳥居の種類
・黒木鳥居・鹿島鳥居・宗忠鳥居 ・伊勢鳥居・春日鳥居・八幡鳥居 ・稲荷(台輪)鳥居・山王鳥居・明神鳥居 ・三輪鳥居


・黒木鳥居・



・鹿島鳥居・



・宗忠鳥居・



・伊勢鳥居・



・春日鳥居・



・八幡鳥居・



・稲荷(台輪)鳥居・



・山王鳥居・



・明神鳥居・



・三輪鳥居・







[資料:日本「神社」綜覧(新人物往来社)/家系(豊田武著:東京堂出版刊)/神社(岡田米夫著:東京堂出版刊)]