王地山公園の西側にあるお稲荷さんで、赤い鳥居がトンネルのように長く続いている。約百七十年前の文政年間、毎年春と夏に、将軍上覧の大相撲が催されていた。ときに老中をつとめる篠山藩主青山忠裕もお抱え力士を出場させたが、連戦連敗、おおいに面目を失していた。ある年の春場所のこと、篠山から来たという王地山平左衛門ら八名の力士が江戸にあらわれ連戦連勝、負けきらいの忠裕はおおいに喜んで褒美をとらそうとした。しかし、かれらn姿はすでになく、のちに調べたところ領内のお稲荷さんであった。忠裕はそれぞれのお稲荷さんに、幟や絵馬などを奉納して感謝の意をあらわしたという。
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