世界の産業機械と
最新技術がそろう世界最大の展示会

 2日間の休日を終え、この旅最終の目的地であり最大の目玉でもある「ハノーバメッセ」の見学。  ハーメルンのホテルを出発して、菜の花や八重桜が咲きほこる自然ゆたかな田園地帯をバスに乗ること1時間30分。ハノーバメッセ会場は混雑した道路の向こうに見えてきた。騎馬警官が交通整理をしているのが、なんとものんびりとしていて新鮮。まず、日本では見ることのできない光景だ。
 今回のハノーバメッセは、世界69ケ国から7000社以上の企業が出展をしたという。日本からも数社が出展をしていた。世界の新製品、新技術が集まったとあって、会場内はドイツ語を始め、イタリア語、英語、フランス語、中国語、韓国語、もちろん日本語などなどが飛び交っている。まさに世界最大の展示会だ。
 現代のように、めまぐるしい変化を続ける時代にあって、今日の新製品はもう明日にはスタンダードになっているかも知れない。それだけにいち早く市場動向や技術トレンドを把握するのは重要な活動だ。そして、グローバリゼーションへの対応も不可欠。さらに、ユーロ始動の前夜にあたる1998年、今後の世界の産業動向を感じるうえでも今年のハノーバメッセは、世界から熱い視線を浴びているところだ。
 会場内はとにかく広い。ゾーンとしては、マテリアルハンドリング・テクノロジー、ロボットおよび自動化技術、表面処理技術、産業用品および工業用材料、電気および電子工学のための製造技術、エネルギーおよび環境テクノロジー、研究開発およびテクノロジーなどなど多彩な展示にわかれていた。見るものにとって、まんべんなく見てまわるか、気になるところを集中的に深く見るか、まず迷うところだろう。
 会場を歩いてみて、インターネットを利用している企業が多いということが印象に残った。そして、DeviceNetをはじめ、さまざまな世界標準を指向したネットワークへの対応と、環境への心配りも目についたところだ。グローバル化が進み、世界のさまざまな場所で生産をするということになれば、いかに「標準化されたオープンな環境下でものづくりを行っていくか」が一致した方向性だということなのだろう。そして、ユーザ、現場作業員双方への安全性への配慮という指向も心に残った。
 現在、日本の製造業が抱えるさまざまな課題
 ■標準化(オープン化)対応
 ■グローバリゼーション
 ■環境対策
 ■安全性への配慮
などなどは、今回のハノーバメッセを見る限り、そのまま世界における普遍的な課題といえるようだ。
 この世紀を振り替えればまさにガソリンにはじまりコンピュータでおわろうとする時代だったといえようか。21世紀はネットワークの時代になっていくだろうことは、疑いのないところだ。いま、21世紀を目前として、製造業はどのように模索し、企業の存続をはたしていけばよいのだろうか。ボーダレスな地球規模の世界に、どのように対応していけばよいのだろうか。その答えはハノーバメッセにはなかった。しかし、ほんとうの答えはそれぞれの胸のなかから芽生えてくるものなのだろう。とはいえ、メッセの熱気のなかにはそのヒントとなるものがあったのではないだろうか。

 
 
世界中から製造業の新製品、新技術が揃う展示会、グローバルでした。



平和の大切さを感じさせてくれる街

 ハノーバメッセ会場から路面電車で30分、ハノーバ市街に着きます。運賃は3DMで、日本とそんなに変わらない値段だ。ハノーバ市内にもマルクト広場とよばれる、高い塔をもった教会を中心とした広場がある。ハノーバ市でまず目にはいったのが路面に描かれた赤いライン。「…?」とおもっていたら、このラインに沿って歩いて行けば迷わずに、ハノーバの観光名所を回れるとのこと。シンプルで分かりやすい、道標でした。街は石づくりの古いたたずまいと、新しい建造物が混在した、でも、いい雰囲気を醸しだしている街だ。
 市庁舎へとぶらぶら歩をすすめる。市庁舎近くの公園には、水仙が咲いている。市庁舎は戦前からの建物をそのまま使っているという。コンクリートの格好をつけた某都庁舎と比べて、なんともいえづ重厚だ。市庁舎にはいると、屋上展望台があるという。早速のぼってみる。古びたエレベータがいい味を出している。これも昔のままで使っているという。見てくれも、載り心地も悪いが、いい意味で機械の良さというものが感じられた。
 市庁舎のロビーには、1900年代の初め、1945年、そして現在のハノーバ市と三つの時代のジオラマが飾られていた。1945年のそれは、連合軍の爆撃で街が壊滅状態になったさまを伝えている。ドイツも日本と同じ敗戦国だったということが痛感された。帰りの道すがらに、爆撃を受けた当時のままに残された教会があった。いわゆる広島の原爆ドームにあたるものだ。ハノーバでも、多くのひとが爆撃で死んだということだ。ユーロが平和への大きな一歩を踏み出す、という意味も含めていることがよく理解される光景だった。

 
ハノーバ市街  ハノーバ市内の公園--水仙がきれいでした。


ハノーバ市庁舎  ハノーバ市庁舎屋上から公園を見る