美少女と
中世の街並みが心に残る街。

 ボローニャを早朝の飛行機で発ち、ブリュッセル空港へ到着。このブリュッセルはEUの首都機能を担う街となるそうで、街にはEUのシンボルである星でかたちづくられた輪を中央に配した、ブルーの旗が目につく。ダイキンヨーロッパ工場へ向かう途中にある古都ゲント、ここで昼食をとる。食前、食後の散策を兼ねてゲント市内を歩いた。海が近いこともあり、町中には縦横に運河が流れている。石造りの街は、古いものなら日本の鎌倉時代に建てられたものも残っているという。新しく、家を買うひとは外壁はそのままで、内装を変えて使用するという。木と紙で作られた日本の住まいでは、古い家をそのまま使うということは少なく、ほとんどが新しく立て替えなければならないのが現実だ。とはいえ、目の前に広がる中世の雰囲気がそのままに残っているゲントの街並みは、素晴しく、そして美しかった。
 ゲント市内にあるCathedrale De Saint-Bavon教会には、15世紀に描かれた「神秘の子羊」と題される祭壇画が残されている。小生は仏教徒と宗教こそ違うが、その絵の神秘性と宗教性には見るものを敬虔な気持ちにさせてくれる力があった。
 昼食はムール貝、日本でいえばあさりの酒蒸しと似ている。しかし、洗面器のような器に入ったムール貝は、見た目という点からも「えー、これを食べるの?」と、圧倒されるものがあった。聞くと向こうでは主食に準じた食べ物だとか。この旅では、なにを食べても結構おいしくいただいたのだが、このムール貝だけは食傷してしまった(…といいながら、ソースがおいしくて全部食べたけれど)。
 ゲントでもうひとつ特筆すべきこととして、散策のときに擦れ違う若い女性が一様に美しい。金髪にキリッとした表情、スレンダーなスタイル、そして話すことばはフランス語(あるいはオランダ語)の美少女ばかり。好みの差といえば、それだけのことだけれど、ちょっと驚くほど美少女ばかりでしたよー。


歴史的宗教画が残る教会  ベンチにたたずむ少女


1200年代に建てられた家が残る街並み  本当に美少女が多い

男女平等の製造現場、
課題はTPMの導入。

   1973年に稼動を開始し、ヨーロッパ市場向けの住宅用・店舗オフィス用のエアコンを製造しているOostende工場の見学。ベルギーでは、部品の供給拠点としている企業はあるが、製造業では唯一の日系企業だという。 日本からの進出企業として、早くから現地化に取り組み、 現在では、ヨーロッパ市場で販売している全ての製品をフル稼働状態で生産しているとのことだ。
 同工場はISO9001取得、ISO14001認証工場でもある。取得、認証は、日本のように全員参加型ではなく、専任者と現場のリーダとのプロジェクトで1年の時間を要したというが、比較的簡単にとれたという。これは、ベルギー人の几帳面な国民性と日常の作業スタイルがLogicalでISOのフローに非常に近かったためだという。

日本人も舌をまく几帳面な国民性
 工場では、ヨーロッパ工場オリジナルの大型空冷チラー、小型チラー、家庭用のエアコンが製造されている。家庭用のエアコン製造ラインは多品種混流ラインで、マニュアルを主体としたラインにしているという。現場を見て驚いたのは女性の姿が目立つことだ。しかも男性と同じように、ラインのなかで重い部品を持って組み立てている。それと、構内の整理整頓が見事なほどゆきとどいていることだ。部材はもちろんのこと、治具等もキチンとかたづけられている。 「整理整頓に関しては、馬鹿正直といえばことばが悪いが、日本とは比べものにならないほど優秀だ」と。また「国民性なんでしょうか、いわれたことは、そこまでしなくてもと思うほど忠実だ」ともいう。ただ、メンテナンス対応、設備改善・既存設備のスピードアップということへの取り組みは、日本の方が数段勝っているそうだ。ドイツ、イタリアの工場を見てきたが、それと比べてくわえ煙草の作業者も見えず、工場全体に真面目な雰囲気が漂っているように感じられた。
 現在業務用が主体で、家庭用は少ないとのこと。だが、最近ヨーロッパではホットサマーが増えてきて、家庭用の需要も潜在的にはかなり高いということだ。そのせいか、市場も好況だという。それだけに日系企業も含めた同業他メーカのヨーロッパ進出が増えてきた。その数は40から50社ともいう。今後は、さらに競争力を高めていく必要に迫られていくようだ。

文化の差を埋める
現場改善を進める、と課題は多い

 創業25周年を迎え「今までは、おおむねうまくいった」という。だが、現在の状況を考えるとまだまだ改善の余地は多い「効率の管理」「スキルアップのための改善活動」「自動化への取り組み」などなど。なかでも改善活動にはかなり前から取り組んできたというが、その定着はまだまだだという。
 ベルギーではワーカとスタッフの序列がはっきりしていて、ワーカはいわれたことを黙々とする人で、考えるのはスタッフだというところだ。日本では小集団活動などで、現場みずからが改善に取り組み、いい結果につなげていることが多い。それが、日本の製造業を世界に冠たるものにした原動力のひとつであった。だがベルギーにおいて「改善活動の導入は自主的にはまず不可能、本当に難しい。文化の差が大きすぎる」という。日本の生産現場で良く見かける、生産性などのグラフを貼り出したとしよう、途端にワーカから「プレッシャがかかる」とクレームが出てくる。こういったなかで最近、ワーカのなかからスーパバイザに抜擢された人がでた。これは本当にレアケースだという。しかし、このように徐々にではあるが、文化の壁に風穴をあけていっているというのが現状のようだ。

文化の壁は相互理解で埋める
そこからグローバルな
企業風土が生まれてくる

 日本から進出した企業が共有している課題は、やはり文化の差といえそうだ。日本のやり方は日本人にこそふさわしいものであって、そのままではやはり無理だというところだろう。ただ、その効果を肌で感じてきただけにはがゆさも相当なもののようだ。しかし、現地企業のエンジニアが日本で学び、日本からも現地に行って共同作業を行う。そこから徐々「ダイキン・マインド」が醸成されてきつつあるようだ。現地スタッフの方が「フランドル地方の人は、ヨーロッパの日本人だといわれている。むかしは農業主体の国で、貯蓄のレベルも似ている。個人主義も他のヨーロッパ人に比べて日本的だ」。そして「ヨーロッパのいい面と、日本のそれを上手にミックスして、ローカルマネージメントを進めていきたい」と語った。「ダイキン・マインド」が、根付きはじめているように感じた。
 最後に、こんな話が出た「ある人がレストランを開店、たちまち大繁盛。しかし、支店を出すでもなく、営業時間を延長するでもない。稼ぐだけ稼いだら、店を休んで、レジャーに行ってしまった」。これがベルギー人気質だという。また、定年退職はHappy Newsとされるそうだ。これは、整備された社会基盤があるからだ。つまり「働いた」「税金を払った」受益者負担はしてきたというところだ。なかなか文化の差は大きい。  グローバルな環境におかれた日本の製造業が、真にグローバル企業となるには日本の文化に誇りをもち、海外の文化への理解を深めるという、基本的なところが一番の近道のようだ。