格好の息抜きとなった
古都ブルージュの休日。

 小雨のなか、ブルージュの街を散策。バスターミナル近くの広場では土曜日だけの市がたっていた。商品を手にとって「100ベルギーフランは日本円でいくらでしたか?」一瞬とまどいが走る「…ん、安い」。にぎやかな商店街をぶらぶらと歩きながらマルクト広場へと向かう。広場には馬車が停まり、ネオゴシック様式の「州庁舎」と頂上からはブルージュの街が眺望できる「鐘楼」が素晴しい景観を形づくっている。さらに石畳の路は「聖血礼拝堂」、「市庁舎」から「聖母教会」へと続く。聖母教会の高さ122mの塔は、街のシンボルになっているという。また、この教会にミケランジェロの作である白大理石の「聖母子像」があることでも有名と聞いて、あらためて聖母子像を眺める一コマも。
 街中を縦横に流れる運河が雨に煙って、一行の旅情をいや増してくれる。ブルージュはチョコレートとレース編でも知られているところ、ということで、ブルージュで一番の老舗といわれるチョコレート屋さんで製造風景を見学。FAの工場見学も目を離せないところだが、ハンドメィドのチョコレート製造の職人芸、「なるほど、職人の技だ」「これなら、高いのもうなずける」とさまざまな感想が口をついてでていたのも、今回の旅の一興だったのかも。路は運河沿いに「ベギン会修道院」へ、 ここはオールド映画ファンなら、オードリーヘップバーンが主演した「尼僧物語」の舞台となったことを思い出されるのではないだろうか。雨のあがった薄曇りのなかに、ひっそりと咲く水仙の花と静かな木立が、疲れのではじめた一行の疲れを癒してくれる。文字どおり、心にしみいる景色だった。
 最後は四代続いているという、レース編の店を見学。レース編の実演をしていたおばあさんは、昔の技を伝える最後の一人になってしまった方とのこと。さしずめ日本なら人間国宝的な存在だという。その巧みな技が、このおばあさんで絶えてしまう、というのはいかにも残念。このように、工業化というものは人間が悠久より数々伝えてきた、さまざまな技術を博物館に追い込んでいくんですね。


ブルージュ市街   街中を縦横に流れる運河


ベギン会修道院   マルクト広場の鐘楼 

 
雨にぬれたブルージュの路地   チョコレート製造見学

北ヨーロッパの自然のなかを走る
ベルギーからドイツへの車窓の旅。

 9:50発の汽車を待つ。駅から見るブリュージュの町は、柔らかい朝の陽光に包まれて、去り難い思いを抱かせる。日本の地方都市でこんなに美しい風景を持った町はあっただろうか。石の文化と木の文化の違いだけではなく歴史、宗教などの相違が、この景色と日本のそれとの大きな差になっているのだろうか…、などと考えさせてくれる人影もまばらな日曜日のブリュージュ駅。


ブリュージュ駅   駅のホームで汽車を待つ

 ゲント、ナミュール、リエージュとベルギーの町を繋いで汽車は、北ヨーロッパの風景のなかを走っていく。揺れの少ない汽車の旅は快適そのもの。教会の塔が見えてくると次の町、いずれも煉瓦と石で作られた家並みが美しい。まさに「世界の車窓から・ベルギーの旅」を目前に見ているような素晴しさ。
 国境の町アーヘンを越え、13:42ケルンへ到着。ケルンで30分の連絡時間待ちの間に、大聖堂を見物に行くメンバーも。ケルンの大聖堂は600余年をかけて1880年に完成したという大寺院、下から見上げる157mの高さはまさに圧倒される雄大さ。ケルンはまたオーデコロンの語源になった町、「ケルンの水」すなわちオーデ(水)コロン(ケルン)なのだそうだ。
 ケルン駅でもそうだったが、この旅では改札をほとんど見ない、つまり駅への出入りが自在。これは、JRのうるささに馴れた日本人にとって、なんとも表現しにくい光景だ。14:10ケルン駅を発車、個室スタイルの車内が新鮮。16:12目的駅ビーフヘルトに到着、6時間と22分の汽車の旅だった。
 ベルギーの田園から丘陵、そして国境の山並みを越え、ドイツの田園都市へと走ってきた汽車の旅は、ブルージュの一日と併せてセミナー、工場見学と続いたこの旅前半の疲れを癒してくれたようだ。